
不対電子の検出方としては非常に有効であるが、たいていの安定な有機化合物は閉殻構造をとっており、不対電子を持たないのでEPRは核磁気共鳴(NMR)に比べると適用範囲が狭い。 この手法の最も基本的な物理的概念はNMRと同様であるが原子の核スピンの代わりに電子のスピンが励起される。原子核と電子とでは質量が異なるため、NMRに比べ低磁場、高周波数で測定が行われる。磁場が0.3テスラの場合、スピンの共鳴は10GHzで起こる。 EPRは固体物理学においてはラジカルの帰属および定量に用いられる。また、生物学や医学の分野で生物学的スピンプローブの標識として用いられ、化学の分野においては反応経路の追跡および錯体化学などで用いられる。 考古学や古生物学では、放射線によって古ければ古いほど不対電子の量が多いので、化石の骨や鍾乳石の年代を測定するのに利用されている。 ラジカルは反応性が高く、生物学的環境ではたいていの場合あまり高濃度では存在せず、ラジカルに1電子を奪われた分子が他の分子から電子を引き抜くとその分子がさらにラジカルを形成するので反応は連鎖的に進行する。細胞の特定部位にくっつく反応性の低いラジカルが開発されたおかげでいわゆるスピンラベルもしくはスピンプローブ分子の環境についての情報を得ることが可能になった。 生化学の分野では、電子伝達に関与するたんぱく質の持つ金属クラスター中の不対電子検出に用いられる。例えば、光合成関係の研究では光化学反応中心やフェレドキシンなどの持つ鉄硫黄クラスターの検出に用いられてきた。 より詳細な分析には高磁場高周波数の分析機器が必要になることもある。そのような機器は中規模の実験室にはなく、フランスのグルノーブル(Grenoble)のILL(Institut Laue-Langevin)、およびアメリカのタラハシー(Tallahassee)にそれぞれ設置されている。 (引用:Wikipedia)